「私と彼女とどっちを取るって言ったらどうする?」
助手席に座っていたまなみが、突然そんなことを言った。
(言ったらどうするも何も、もう言ってんじゃん)
運転しながら、とおるはそう思った。
「そりゃまあ・・・」と言ったまましばらく黙っていた。
「ごめんね。そんなこと言われたら、負担になるよね」
まなみの方がすまなそうな顔で言った。
‐ 出会い ‐
とおるには、付き合っている彼女がいる。
とおるとまなみは同い年で、同じ中学校を卒業していた。
知り合ってから、それを知ったわけだが。
とおるの彼女とまなみとは、バイト先の友達だった。
何人かの仲間が集まって、食事をしたことがあった。
それがきっかけで、知り合った関係だった。
中学がいっしょだったことも、安心感があった。
はじまりは、そんな程度だった。